弊社がTV放送のイノベーション企画として
TV局とのコラボレーションで2016年に実施
震災以前から、福島県では特に中山間地を中心に高齢化·過疎化が急速に進行し、「限界集落」とも言われる状況が社会問題化していました。
全体人口の減少、また若者の流出、人口の都市部への集中、それが要因での公共交通廃止などがあいまって、地方の周辺地域にすむ高齢者にとっては生活のインフラが消えつつありました。
そして2011年3月の東日本大震災と原発事故、福島県を取り巻く環境はますます厳しさを増し諸問題がより複雑になった、と言わざるをえません。
当企画提案は、そのような過疎地·被災エリアに住む、高齢者·超高齢者の生活を支える生活インフラとして、テレビデータ放送と連動した「高齢者向け御用聞きサービス」=「日用品·食料品宅配サービス」の実証研究を行うものです。
すでにネット販売は流通小売りとして大きな存在となり、多くの国民がネット通販を利用しております。
しかしながら、パソコンへのアレルギーは地方の高齢者ほど高く、これら言わば「デジタル難民」がネットから商品を購入することは、思いのほかハードルが高いのが実情です。
このような方々にデジタル放送のデータ放送画面から気軽にリモコンボタンで日用品·食料品を買い求め、自宅まで運んでくれるサービスには多くの需要が存在すると考えます。
高齢者が歩いて買い物に行ける都市型のコンパクトな街づくりとともに、過疎地·被災エリアにおいてはこういった生活のインフラが不可欠の要素になっています。
<企画名>テレビデータ放送を活用した中山間地·被災地域の高齢者向け最寄品宅配サービス
◆実施構成組織と役割
①(株)いちい=中山間地·被災地における日用品·食料品等の継続的宅配ビジネスモデルの構築
②(株)NTT東日本-福島=実証エリアにおけるテレビ受像機のネット環境整備
③(株)アイ·エム·ディ=商品コンテンツ制作及びコンテンツサーバー構築管理管理
④(株)テレビユー福島=データ放送の実施 ※提案代表社
⑤実証自治体=エリア内世帯への周知、インフラ設置等への協力(25世帯×2エリア)
⑥バリアフリー関連有識者=高齢者向けサービスのおける助言
2016年度の実施内容
最寄品を買い求めるのすら困難な高齢者·超高齢者への生活インフラとして、データ放送を利用した過疎地·被災エリアを中心に「宅配ビジネスモデル」の構築を目指します。ネット通販へのアレルギーがある「デジタル難民」に身近で安心感があるテレビの画面をとおして日用品·食料品を買い求めてもらい、即日お届けするサービスです。現在データ放送は主に天気や交通情報を送り出しておりますが、ここに商品情報をのせて各家庭に送り届けます。視聴者は使い勝手の良いリモコンでテレビを見ながら、必要な商品のボタンを押し注文を行います。
今年度は上記のインフラ構築のための調査及び実証期間と位置づけ、コンテンツ制作からデータ放送へのトラフィック、注文から配達までのソフト及びロジスティックの開発検証。協力自治体への合意形成作業。従来のテレビリモコンに代わる高齢者向けデザインの検討とバリアフリー専門家による助言等。以上を行ってまいります。
調査資料:自治体向けデータ放送、概要及び概算見積
「TVデータ放送による過疎·帰還住民への高齢者向け宅配サービス」フロー図
WEBとTVシステムの融合がポイントでした
現在は、WEBを利用すればなんでも出来てしまう時代です。
表題の過疎地域のネットショッピングも全く問題ないと思えますが、事情がありました。
iMD担当者(サーバー構築・管理)の体験談と感想
過疎地域におけるネットショッピングの問題は、ネット回線が各家庭に設置されていないことでした。そもそも、地域的に普及していないエリアがあります。ネット回線が設置できない場合に、無線によるインターネット接続も考えられますが、これもエリアによっては接続が不可能と言う状態になっています。
ではテレビはどうでしょうか? 当然テレビは普及率100%ですね。どの家庭でも見られます。ネット回線が利用できる場所でも、個人のスキルによってスマホが自由に扱えないとか、パソコンがなくて使えないこともあります。ネット時代とは思えないような状況は多々ありました。
そこで各家庭にある「テレビとリモコン」これが1つキーポイントになると考えました。
利用する側からすればテレビのデジタルチャンネルの商品を見て、リモコンをクリックしてショッピング。
毎日利用しているテレビの活用は、テレビショッピングの利用に近く取り組みやすいと思ったわけです。
ただし、テレビショッピングのようにTV局の編集サイドで番組を作って放送すればいいわけではありません。放送する番組の商品は、品揃えと商品の選択ができる必要があります。
テレビの番組を作ると言う感覚では非常に難しいです。
そこでネット上に「商品販売・発送会社」と「デジタル番組の制作会社」「番組放送のTV局」「商品運搬会社」をつなぐネットワークシステムを考えました。この仕組みによって「商品販売・発送会社」のスーパーマーケット側は販売したい商品を「TVショップシステム」に登録するだけで、「デジタル番組の制作会社」のサーバーに自動的に挿入されると言う一体した仕組みが出来ました。
そのデジタル情報がTV局側に伝わります。TV局はその番組を放送します。つまりテレビ局とスーパーマーケットと言う異質な空間の中でも「ネット」と言う仕組みの中で情報の共有が出来ました。
あとはTV局からデジタル放送されたテレビの画面から「選択(チェック)された」商品のデータは「デジタル番組の制作会社」のサーバーに送られます。
この販売データは「TVショップシステム」にも共有されるので、スーパーマーケットはその「販売データーの商品」をピックアップし、「商品運搬会社」宅急便に載せるということになります。
これで商品が消費者の元に届くという訳です。
ここまで作り上げるのは大変で、いろいろな業界間での数々の調整が必要でした。もちろんウェブ制作会社、テレビ局、テレビのデジタル部門、アナログも、そしてスーパーマーケットの管理部門入力、部門、ピックアップ部門での協業を「TV局」がトータル管理するとこの仕組みで今回の仕組みが動きました。
データ放送 ショッピング画面イメージ
下記の画面イメージ画像が今回の対象地域のテレビに映る最終的なショッピング画面となります。
デジタルチャンネルでの放送です。商品部門別カテゴリが有ります。クリックすると部門が切り替わり、その部門の商品が表示されます。スーパーマーケットのチラシはどの商品数はありません。目的の商品をクリックすると購入画面位変わりますので数量とかチェックを行います。ごく一般的なテレビショッピングやネットショッピングの画面とほぼ一緒だと思ってください。ただ現状のデジタルテレビでは性能的に言うとメモリが足ないために表現上制限があります。現場のテレビでも通信回線さえ確保できれば、過疎地域の買い物弱者への助けになると思います。今回は実験のために実験地域全家庭に光ファイバーをNTTさんの協力で設置しました。サーバー環境や、運用のノウハウは確認したので、今後の課題としては通信回線の問題だと思います。今回の実験では、使いやすさ便利さ、それとお年寄りが使えると言う前提で考えてますので、その部分は通常のネットショッピングと変わりますので、その部分で指摘されることも多いと思います。今後のテレビ側の帯域の拡大・性能向上もあるらしいので、テレビの使いやすさと将来性と言うことも可能性と捉えています。
テレビュー福島(TUF)で紹介されました。